溝口敦はノンフィクション中心のライターです。手がける分野は主に社会畑ですが、カバー範囲は広く、山口組、ヤクザ、暴力団、組織犯罪集団、外国人マフィア、人物論、新宗教、科学、食品の安全性、性、小説など多岐にわたっています。発表メディアは主に週刊誌、月刊誌、単行本です。


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溝口敦の斬り込み時評(日刊ゲンダイ、毎週月曜連載)

416)警察が色めき立った関西カチコミ事件のチンケ(21年4月5日)

 3月27日、午前4時ごろ、神戸の新開地駅から北に約300メートル、歓楽街として知られる福原のビル1階のシャッターに銃弾4発が撃ち込まれた。

 兵庫県警にはおそらく実行犯から通報があったのだろう。県警はその日の夕方、現場周辺を訪ね歩き、ようやくビルを特定した。

 県警が分からなかったのは無理もない。銃弾は22口径ぐらいで小さく、シャッターを貫通できず、単に凹みをつけただけだったのだ。

 しかし、付近には防犯カメラが何台も設置されている。そのうちの1台には、自転車で現場に到着した男がシャッターめがけ発砲する動画が残されていた。現場は、神戸山口組・井上邦雄組長の実子につながる関係者が営む格闘技の練習場だった。

 これで警察は色めきたった。山口組の分裂抗争はついにトップの家族関係にまで手を出し始めたのか。井上組長は引き籠もって攻撃のチャンスがない。だったら、家族を攻めていぶり出す戦法か、と読んだのだ。

 とすれば、実行犯は分裂抗争の終結を急ぐ六代目山口組か、それとも付近の地理に詳しい中田浩司組長率いる五代目山健組か。

 しかし、現場のすぐ近くには織田絆誠会長率いる絆会の神戸事務所がある。これと勘違いしてシャッターを撃ったのか。とすれば実行犯は神戸山口組か、六代目山口組か。

 なにしろ発砲した者が判明せず、未逮捕だから、実行犯はどことでも想定できる。

 実は同じようなカチコミ事件が3月3日未明、西宮市でも起きている。同市久保町の運送会社社員寮で「バーンという銃声のような大きな音が4回くらい聞こえた」と近くの住民が午前2時10分ごろ110番通報した。

 駆けつけた警察が現場周辺を調べると、1階のシャッターに銃弾の跡のような凹みが4カ所あり、回りから銃弾の破片らしきものが見つかった。また建物の1階車庫からは焦げた新聞紙が詰められた瓶が残され、火炎ビンではないかと推測されている。

 この建物は神戸山口組の寺岡修若頭が率いる侠友会系諏訪一家の組事務所だった時期がある。今は撤退しているが、実行犯はなおもそうと思い込んで発砲したのか。

 両事件は小型の拳銃使用、4発発射、シャッターへのカチコミ、未明の発生時間などいくつか共通し、両方とも犯人は未逮捕である。

 防犯カメラの映像から福原の方が、犯人逮捕が早いだろうと見られているが、どう転んでもちゃっちい事件である。山口組の分裂抗争はここでも矢折れ玉尽き、末期症状を呈している。



<斬り込み時評バックナンバー>

415)六代目山口組高山若頭の「特定抗争」を仕掛ける辣腕(21年
414)弘道会系組長父子が襲撃された背景に何があるのか(21年3月8日)
413)山口組は弱体化したが弘道会は強化された警察の誤算(21年2月22日)
412)シノギが振るわない半グレで静かに進む地殻変動(21年2月8日)
411)親分子分という擬制血縁関係=ビジネスモデルの崩壊(2021年1月25日)
410)六代目山口組・高山若頭が説く「まじめなヤクザ道」(21年1月4日)

2010年7月7日、野球賭博摘発についての溝口敦のコメント
NHK WORLD ニュースライン(10年7月7日)

2008年7月14日、占い師・細木数子は講談社社長に6億円余の損害賠償を求める裁判について、東京地裁に訴えの取り下げ書を提出した。
講談社と溝口は細木の訴えの取り下げに同意し、次のような和解条項を示して細木と和解した。

講談社は、雑誌出版社として財団法人日本雑誌協会が定める雑誌編集倫理綱領(昭和38年10月16日制定、 平成9年6月18日改訂)に基づき、「雑誌編集者は、完全な言論の自由、表現の自由を有する。この自由は、 われわれの基本的権利として強く維持されなければならない」ことを基本とし、「社会の秩序や道徳を尊重す るとともに、暴力の賛美を否定する」との立場に立ちつつ、「個人及び団体の名誉は、他の基本的人権とひと しく尊重され擁護されるべきものである」ことを自覚し、「真実を正確に伝え、記事に採り上げられた人の名 誉やプライバシーをみだりに損なうような内容であってはならない」ことに留意して、行動していくことを、 ここに表明し、補助参加人(溝口敦)は、同様の指針に沿って、行動していくことを表明する。

2008年3月10日、溝口敦と山口組系山健組組長らは東京地裁で和解した。

・この和解を報じる共同通信の配信記事(08年3月10日)
・東京地裁での和解の概略




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