197)リスクが大きい金の密輸は儲かるのか(15年1月26日)


 去年の暮れ、福岡空港で香港から金のインゴット4キロを密輸しようとしたとして、暴力団組員2人が逮捕された。

 金の密輸は半グレ集団が2年ほど前から始めた新シノギである。逮捕された組員はいささか「遅れてきた青年」だったかもしれない。

 金は世界どこで買っても値段は同じである。香港で買っても日本で買っても値段は変わらない。にもかかわらず、なぜ組員は香港で買ったのか。日本と違って消費税がかからないからだ。

 世界的に見て金は非課税が主流だが、日本、韓国、インドだけが金の売買に付加価値税(VAT)や消費税をつけている。香港やシンガポール、オーストラリアなどで買い、日本の税関で申告せず、そのまま国内に持ち込む。

 国内の金取扱店で売ると、消費税分8%をプラスして買い上げてくれる。この8%が組員や半グレたちの儲けなのだ。

 金1キロの値段は現在530万円ぐらいである。4キロなら2120万円。その8%なら169万円ぐらいが儲かる計算になる。もちろん別に飛行機代や、現地で泊まった場合の宿泊費などがかかるわけだが、香港なら日帰りも可能だし、LCCが頻繁に飛び、飛行機代が安い。

 海外での購入、機内持ち込みは中国を除けば問題がない。中国では密輸出として実刑になる可能性がある。難関は国内の税関だが、初犯で持ち込みが少量なら税関は見逃してくれる場合が多い。

 申告せずに発覚した場合、「無許可輸入」になる。消費税と罰金を合わせ1キロにつき160万円ぐらい徴収される。その上、2カ月間、持ち込んだ金は税関に領置され、所有者に返されない。

 その間、持ち込んだ人間は売るに売れず、資金繰りに四苦八苦する。シノギとしては破綻同然である。また日本国内で売る場合、200万円以上の取引には身分証が必要になる。

 こうした難関をクリアするため、プロはフーテンや外国人を多数動員する。この辺りにノウハウがあるんだと、この道のプロが語っていた。

 要するに金持ち込みの狙いは消費税のごまかしだが、考えてみれば海外で行った非課税の消費について、国内に持ち込んだとたん、日本国に消費税を納めねばならないとは理屈に合わない気がする。

 が、それはともかく、半グレも暴力団も消費税のごまかしに頭を絞るほど、シノギが厳しいわけだろう。