26)今年10月施行、東京都の暴力団排除条例を読み解く(11年2月28日)


 このほど東京都は都議会に暴力団排除条例を提出した。3月に可決されれば、今年10月から施行される運びである。

 暴力団排除条例はすでに福岡や佐賀、長崎、愛媛など27道府県で制定され、今回の都条例に格別新味はないとみられる。

 だが、警視庁は条例提出の背景説明として、山口組の東京進出を阻止することを挙げたようだ。

 たしかに条例案の「(22)暴力団事務所の開設・運営の禁止」を見ると、暴力団事務所は学校や公民館、図書館などの敷地の周囲200メートルの区域内において開設・運営してはならないと記されている。しかも但し書き的に「現に運営されている暴力団事務所については、(この条項を)適用しない」とある。

 つまり住吉会や稲川会、松葉会など首都圏を地盤にする暴力団の既存の組事務所についてはその運営を認め、関西を中心とする山口組などが東京に進出、新規に組事務所を設けようとしても認めないと言っている。

 まあ、どのような世界でもホームタウンディシジョンはある。現実的にも有力な新参者が入ってくれば、座がギスギスする。警視庁の地元暴力団贔屓は仕方ないところだろう。

 おやっと思われるのは、この都条例案が「反社会的勢力」をも排除する条例だという解説が散見されることだ。条例案には「反社会的勢力」や「反社」という用語は使われていないが、わずかに該当しそうなのは「規制対象者のホ」の記述である。

「暴力団員との間で、その所属する暴力団の威力を示すことが容認されることの対償として、金品その他の財産上の利益を供与することを合意している者」

 たとえば、向き合う相手に暴力団との関係をチラッと示してカネにし、暴力団にカネを運ぶのなら、それは企業舎弟か共生者ではないのか。

 反社会的勢力、反社という用語は曖昧模糊としている。ふつう企業のコンプライアンス面から問題にされ、暴力団の組員、準構成員、フロント企業、総会屋、社会運動等標榜ゴロ、特殊知能暴力集団などと受け取る担当者が多いようだが、実務となるとそれでは片付かない。

 金融庁や警察庁が定義を示さず、軽々しく用語を製造、使っていることに混乱の原因があるのだが、反社が上記のような内容なら、何も「反社」を使わず、従来の警察用語で事足りよう。

 現実に暴力団をも無視・否定する半グレ集団や、外国人犯罪グループが犯罪を重ね、害を及ぼす以上、彼らをも包含する広い概念として「反社」を使うべきだろう。もっとも正確に定義した上で使うためには法律が必要で、都条例レベルでは定義・規制しきれない相手なのだが。